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高速道路の車両突入対策に!HERCULES(ヘラクレス)の特徴とNETIS技術を解説【HK-230005】

2023年8月13日
読了時間: 13分

更新日:1 日前



 道路工事や舗装工事における交通規制では、一般車両が誤って規制帯に進入する事故への対策が重要です。

 特に、高速道路や高規格道路では、一般車両の走行速度が高く、規制帯への車両突入が重大事故につながるおそれがあります。

 

 施工管理者の皆さんは、次のような課題を感じたことはないでしょうか。

  • 高速道路の交通規制で、一般車両の突入事故を防ぎたい

  • 規制帯の起点付近で作業員の安全を確保したい

  • クッションドラムだけでは車両の停止対策として不安がある

  • 「とまるくん」以外の車両停止装置も比較したい

  • 高速走行車両への対応を考慮したNETIS技術を採用したい


 交通規制では、工事看板やLED電光表示板などによる注意喚起が欠かせません。

 しかし、ドライバーのわき見運転や居眠り運転、操作ミスなどによって、車両が規制帯へ突入する可能性は残ります。

 そのため、注意喚起に加えて、万一の車両突入に備える物理的な安全対策が重要になります。


 今回TKnetが紹介するのは、車両突入阻止バリケード「HERCULES(ヘラクレス)」です。

 もともとはテロ車両や暴走車両への対策を目的として開発され、道路工事の交通規制にも応用された製品です。

 NETISにも登録されており、高速道路など、車両の走行速度が高い現場で検討したい技術の一つです。

 今回は、ヘラクレスの仕組みや特徴、従来の安全対策との違い、「とまるくん」「規制の相棒」との選び方を、TKnet独自の現場目線で解説します。


交通規制の安全対策を比較したい方へ

車両突入防止だけでなく、夜間の視認性向上、LED電光表示板、AI交通誘導など、現場の課題に合った安全対策を探したい方は、TKnetの総合ガイドをご覧ください。


1.高速道路の交通規制では、なぜ車両突入対策が重要なのか?

課題① 高速走行車両が規制帯へ突入する危険性

 高速道路や高規格道路では、一般道路と比較して車両の走行速度が高い場合があります。

 そのため、規制帯への誤進入が発生すると、作業員や交通誘導員、規制内の工事車両などに重大な被害を及ぼす可能性があります。

 特に注意したいのが、車線減少規制の起点付近です。

 規制の存在に気づくのが遅れたり、車線変更が間に合わなかったりした車両が、規制帯へ進入する危険性があります。


課題② 注意喚起だけでは車両を停止できない

 工事看板やLED電光表示板、工事灯などは、ドライバーへ規制の存在を知らせるための重要な設備です。

 しかし、これらの設備は車両を物理的に停止させるものではありません。

 そのため、車両突入による被害を軽減するには、車両停止装置などの採用を検討する必要があります。


課題③ 車両停止装置の性能と設置条件を確認する必要がある

 車両停止装置には、さまざまな種類があります。

 しかし、どの製品でも同じ速度・車両重量・進入角度に対応できるわけではありません。

 特に高速道路では、想定する突入速度や車両条件に対して、装置の試験条件が適合するかを確認することが重要です。


2.車両突入阻止バリケード「HERCULES(ヘラクレス)」とは?

テロ・暴走車両対策から道路工事の交通規制へ

 HERCULES(ヘラクレス)は、トライ・ユー株式会社などが開発した車両突入阻止バリケードです。

 当初は、イベント会場などにおけるテロ車両や暴走車両の突入を阻止する目的で開発されました。

 その後、高速道路の車線規制などにおける車両突入対策への応用が進められています。


製品概要

項目

内容

製品名称

HERCULES(ヘラクレス)小型タイプ

技術区分

車両突入阻止バリケード

NETIS登録番号

HK-230005-A

開発関係者

トライ・ユー株式会社、株式会社白石ゴム製作所、北海道立総合研究機構 工業試験場

主な用途

道路工事の規制帯への誤進入車両の停止

停止の仕組み

バリケードの変形、スパイクピン、車両荷重、路面摩擦などを活用

本体重量

約55kg(構成部材を含む公表値)

特徴

折り畳み収納、運搬・設置への配慮

※仕様は公開されている小型タイプの情報です。導入時はメーカーの最新資料で確認してください。


3.ヘラクレスが車両を停止させる仕組み

 ヘラクレスの特徴は、単に頑丈なバリケードで車両を受け止めるのではなく、複数の仕組みを組み合わせて突入車両の停止を図ることです。


① バリケード部の変形によって衝撃を吸収

 ヘラクレスは、前面のバリケード部にスリット鋼板などを使用した構造を採用しています。

 車両が衝突すると、バリケード部が変形することで衝撃エネルギーの吸収を図ります。


② スパイクピンによって停止効果を高める

 ヘラクレスには、衝突時に路面へ作用するスパイクピンが設けられています。

 この仕組みによって、路面との抵抗を発生させ、車両の停止効果を高めます。

 ただし、スパイクピンの作用は路面条件によって異なるため、舗装の状態や設置条件を確認する必要があります。


③ 車両の自重を利用して停止させる

 ヘラクレスの前面には、車両の前輪が乗り上がる構造が採用されています。

 車両の荷重を装置に作用させることで、路面との摩擦抵抗を高め、車両の停止を図ります。

 また、バリケードが跳ね飛ばされることを抑制する仕組みとしても機能します。


④ 特殊ゴムによって路面との摩擦を確保

 フロントパネルの裏面には、特殊ゴムが使用されています。

 車両の荷重と路面との摩擦を利用し、停止効果を高める構造です。

 このように、ヘラクレスは複数の作用を組み合わせることで、車両の突入を阻止する技術です。


4.高速走行車両への対応はどこまで可能?

 

 ヘラクレスを検討する際、特に気になるのが車両の突入速度ではないでしょうか。

 公表されている技術紹介では、小型タイプを2連結することで、乗用車の80km/h以上のノーブレーキ突入に対応すると説明されています。

 ただし、この数値には重要な注意点があります。

「ヘラクレス1台で、あらゆる車両を80km/h以上から停止できる」という意味ではありません。

 実際の停止性能は、車両重量、突入速度、衝突角度、設置台数、路面条件などによって変わります。

 また、実車両による衝突試験では、60~80km/hでの試験が実施されたことも公表されています。


TKnetが重視するポイント

 高速道路の現場では、製品カタログに記載された最大対応速度だけで採用を判断しないことをおすすめします。


特に、次の点を確認しましょう。

  • 衝突試験で使用した車両の重量

  • 衝突時の速度と進入角度

  • 装置の設置台数・連結方法

  • 衝突後に車両が停止するまでの距離

  • 作業員の退避空間や施工箇所との離隔

  • 使用可能な路面条件


 停止装置を設置しても、衝突後の停止距離が確保できなければ、作業員を守るための対策として不十分になる可能性があります。

 そのため、停止性能と設置計画を一体で考えることが重要です。


5.従来のクッションドラムと何が違う?

 交通規制では、クッションドラムなどの衝撃緩和設備が使用されることがあります。

 一方、ヘラクレスは、車両の突入を強制的に停止させることを目的とした装置です。

比較項目

クッションドラムなど

HERCULES(ヘラクレス)

主な目的

衝突時の衝撃緩和

突入車両の停止

車両停止の仕組み

衝撃吸収を中心とした構造

変形・スパイク・摩擦・車両荷重を活用

高速走行車両への対応

製品の性能・用途による

所定条件での衝突試験・停止性能を確認

設置計画

緩衝設備としての配置条件

停止距離・進入方向・路面条件を確認

主な選定基準

衝突緩和が必要か

車両の強制停止が必要か

 ここで重要なのは、クッションドラムと車両停止装置は、必ずしも同じ目的の設備ではないということです。

 衝撃を緩和したいのか、規制帯への車両突入を阻止したいのか。

 まず目的を整理してから、適切な安全設備を選定しましょう。


6.「とまるくん」「規制の相棒」との違いは?

 車両進入防止装置を検討する際には、「とまるくん」や「規制の相棒」と比較する方も多いと思います。

 いずれも車両の誤進入に備える技術ですが、構造や停止の仕組み、試験条件などが異なります。

比較項目

HERCULES

とまるくん

規制の相棒

主な役割

車両突入阻止

進入車両の強制停止

進入車両の強制停止

停止の仕組み

変形・スパイク・摩擦・車両荷重

車両荷重・路面摩擦

車両荷重・路面摩擦

注目したい特徴

高速走行車両を想定した開発・試験

道路工事での設置方法・運用実績

斜め方向からの進入への対応

NETIS情報

HK-230005-A

過去の登録実績あり

KK-220058

選定時の確認

連結条件・停止距離・路面条件

台数・配置間隔・停止距離

進入角度・台数・配置条件

※各製品の試験条件が異なるため、停止距離や対応速度を単純比較したものではありません。


① とまるくん

 とまるくんは、車両が装置に乗り上がった際の荷重と、路面との摩擦を利用して車両を停止させる装置です。

 一般道路や高速道路での設置方法が案内されており、現場条件に応じた配置計画が重要です。

TKnetでは、設置方法を詳しく紹介しています。


② 規制の相棒

 規制の相棒は、車両の自重と路面との摩擦を利用する車両停止装置です。

 特徴の一つとして、斜め方向から進入する車両への対応が挙げられます。

 規制帯の起点や車線変更部など、車両が斜め方向から進入する可能性がある現場では、適用条件を確認したい技術です。


③ HERCULES(ヘラクレス)

 ヘラクレスは、テロ・暴走車両対策を背景に開発された車両突入阻止バリケードです。

 高速走行車両を想定した衝突試験の情報が公表されているため、高速道路や高規格道路の交通規制で検討したい製品です。

 ただし、高速道路なら必ずヘラクレスが最適というわけではありません。

 現場で想定する車両条件や進入方向、設置スペース、メーカーの性能資料を比較して判断しましょう。


7.TKnetおすすめの活用現場

① 高速道路の車線減少規制

 TKnetとして特に注目したいのが、高速道路の車線減少規制です。

 車両の走行速度が高い現場では、規制帯への誤進入が重大事故につながる可能性があります。

 そのため、規制起点付近などで車両突入対策を強化したい場合に、ヘラクレスの採用を検討できます。

 ただし、NEXCO等の規制基準や承認条件に適合するか、事前確認が必要です。


② 高規格道路・自動車専用道路

 一般道路と比べて車両の走行速度が高い高規格道路でも、車両突入対策は重要です。

 高速走行車両を想定した停止装置として、ヘラクレスの性能資料を確認する価値があります。


③ 交通規制が長期間続く現場

 長期間の交通規制では、一般車両の誤進入リスクへの対策を継続する必要があります。

 設置・撤去・保管のしやすさも含めて、運用方法を検討しましょう。


④ イベント会場などの車両突入対策

 ヘラクレスは、イベント会場などでの車両突入阻止を目的として開発された経緯があります。

 道路工事だけでなく、歩行者が集まる場所への車両進入対策でも活用が考えられます。

 ただし、道路工事とは設置条件や管理方法が異なるため、用途に応じた確認が必要です。


8.導入前に確認したい5つのポイント

① 想定する車両と突入速度

 乗用車、貨物車など、想定する車両によって衝突エネルギーは異なります。

 メーカーの衝突試験条件を確認し、現場で想定する車両条件と照合しましょう。


② 設置台数・連結方法

 ヘラクレスの停止性能は、設置台数や連結方法によって変わります。

 特に高速走行車両への対応を検討する場合は、試験で使用された構成と実際の設置構成が一致しているか確認することが重要です。


③ 停止距離と作業員の退避空間

 装置が車両を停止させるまでには、一定の距離が必要になる場合があります。

 作業員や工事車両との離隔を確保し、装置の配置を検討しましょう。


④ 路面条件と舗装への影響

 ヘラクレスは、スパイクピンや路面摩擦を利用する構造です。

 アスファルト舗装、コンクリート舗装、積雪・凍結路面などでの適用条件を確認しましょう。

 また、衝突時に路面へ作用する構造のため、舗装への影響についてもメーカーへ確認することをおすすめします。


⑤ 発注者仕様・規制図・関係機関との協議

 車両停止装置を採用する場合は、発注者の規制基準、道路使用許可条件、交通規制図、関係法令、メーカーの使用条件などを確認してください。

 特に高速道路では、道路管理者やNEXCO等が定める安全管理基準との整合が重要です。


9.NETIS登録技術としての活用と技術提案

 HERCULES(ヘラクレス)小型タイプは、NETIS登録番号HK-230005-Aとして紹介されている技術です。

 NETISの技術概要では、道路工事現場へ誤進入した車両を強制停止させる技術として、従来のクッションドラムとの比較が示されています。

 また、運搬時の軽量化や設置の容易化も特徴として挙げられています。


技術提案・創意工夫の考え方

 技術提案を検討する場合は、単に「NETIS登録技術を採用する」と記載するだけではなく、現場の課題と結びつけることが重要です。


現場課題:

高速道路の車線減少規制において、一般車両が高速で規制帯へ誤進入した場合、作業員や交通誘導員に重大な被害が発生するおそれがある。

採用技術:

車両突入阻止バリケード「HERCULES(ヘラクレス)」を採用する。

期待する効果:

車両の衝突エネルギー吸収、路面摩擦、スパイクピンなどを利用した停止機構により、規制帯への誤進入車両の停止を図り、作業員の安全性向上を目指す。


技術提案文の参考例

 「高速道路の車線減少規制における一般車両の誤進入対策として、NETIS登録技術である車両突入阻止バリケード『HERCULES(ヘラクレス)』を採用する。

 本装置は、バリケード部の変形による衝撃吸収に加え、車両荷重、路面摩擦およびスパイクピンを利用した停止機構を備えている。

 現場の交通条件、想定車両、停止距離および設置条件を確認したうえで適切に配置し、規制帯への誤進入車両に対する停止対策を強化することで、作業員の安全性向上を図る。」

※技術提案文は参考例です。採用にあたっては、発注者の評価要領、道路条件、製品の適用範囲に合わせて修正してください。


NETIS一覧表・技術提案資料を活用する

TKnetでは、交通規制の安全対策に活用できるNETIS技術を一覧表にまとめています。

また、一部のNETIS技術については、技術提案資料も公開しています。



10.交通規制の安全対策をもっと比較したい方へ

 車両突入対策では、停止装置だけでなく、工事看板やLED電光表示板などによる早期注意喚起も重要です。


TKnetでは、交通規制の安全対策を現場の課題別に比較できる総合記事を公開しています。

 車両進入防止、夜間の視認性、AI交通誘導、狭小規制など、さまざまな安全対策を比較したい方は、ぜひご覧ください。


まとめ|高速道路の車両突入対策は、停止性能と設置条件で選ぼう

 HERCULES(ヘラクレス)は、テロ・暴走車両対策を背景に開発され、道路工事の交通規制にも応用された車両突入阻止バリケードです。

 NETIS登録技術として、従来のクッションドラムとは異なる車両停止機構を備えています。

 特に、高速道路や高規格道路など、車両の走行速度が高い現場で検討したい技術です。

 ただし、製品の停止性能は、車両重量、突入速度、設置台数、衝突角度、路面条件などによって変わります。

「高速道路だからヘラクレス」ではなく、「想定する突入条件に対応できる装置かどうか」で選ぶことが重要です。

 また、車両停止装置だけに頼らず、早期注意喚起や適切な規制計画、作業員の退避空間の確保などを組み合わせて、安全対策を検討しましょう。

 TKnetでは、これからも施工管理者が現場条件に合った安全対策を選定できるよう、技術や製品を現場目線で紹介していきます。


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