知らないと危ない!進入車両停止装置とまるくんの正しい設置方法
更新日:10月1日

道路工事や舗装工事などの交通規制では、一般車両が誤って規制帯へ進入するリスクがあります。
工事看板やLED表示板、交通誘導員などによって注意喚起を行っていても、
・「規制に気づくのが遅れた」
・「前方を十分に確認していなかった」
・「西日などで規制が見えにくかった」
といった理由から、車両が規制帯へ進入する可能性を完全になくすことはできません。
そこで作業員とドライバーを守るために使用されているのが、進入車両停止装置**「とまるくん」**です。
しかし、とまるくんは、「とりあえず規制帯の前に置いておけばいい」という製品ではありません。
設置する向きや台数、規制帯までの距離が重要で、正しく設置しなければ本来の性能を十分に発揮できない可能性があります。
この記事では、交通規制に携わる方に向けて、「とまるくん」の仕組みと正しい設置方法、設置時に確認しておきたいポイントを分かりやすく解説します。
|進入車両停止装置「とまるくん」とは?
「とまるくん」は、道路の車線規制時などに、誤って作業区域へ進入した車両を停止させるための進入車両停止装置です。
車両がとまるくんへ衝突すると、装置によって車両の前輪を持ち上げ、底面に設けられた特殊ゴムと路面との摩擦抵抗を利用しながら、車両を移動させつつ停止させる仕組みとなっています。
一般的な衝撃吸収設備とは異なり、衝突したその場で車両を完全に止めるのではなく、一定の距離を移動しながら車両を減速・停止させることが大きなポイントです。
そのため、とまるくんの後方には、車両が停止するために必要なスペースを確保する必要があります。
とまるくんの基本仕様
項目 | 内容 |
用途 | 道路車線規制時の進入車両停止 |
重量 | 約30kg |
主な材質 | アルミ・SUS |
停止方法 | 前輪を持ち上げ、底面ゴムと路面との摩擦で停止 |
移動 | 移動用車輪付き |
NETIS | 旧CB-080028-VE |
※普通車用「とまるくん」の仕様です。

|なぜ「正しい設置」が重要なのか?
現場でとまるくんを見かける機会は多くなりましたが、注意したいのが設置方法です。
例えば、
車両が進入してくる方向に対して向きが間違っている
1台だけ設置している
とまるくんと作業員の距離が近すぎる
とまるくんのすぐ後ろに交通誘導員が立っている
車両が停止するための距離が確保されていない
といった設置では、せっかく安全設備を設置していても、本来の効果を十分に発揮できない可能性があります。
特に覚えておきたいのが、「とまるくんは衝突した位置で車両を止める設備ではない」
ということです。
車両を移動させながら停止させるため、装置の後方に停止するための空間を確保することが非常に重要です。
|とまるくんの停止距離はどのくらい?

メーカーが公開している普通車・時速60kmでの試験では、アスファルト路面において次の結果が示されています。
条件 | 急ブレーキのみ | とまるくん使用時 |
乾燥路面 | 24.8m | 8.7m |
雨天路面 | 35.4m | 10.0m |
この数値を見ると、とまるくんを使用した場合でも、車両が停止するまでには一定の距離が必要であることが分かります。
つまり、「とまるくんを規制帯の直前に置く」のでは遅いということです。
なお、これらは一定条件下における試験値です。
実際の停止距離は、車両速度、路面状態、天候、車両重量、衝突角度などによって変わるため、「8.7mあれば必ず停止する」という意味ではありません。
現場条件を考慮し、十分な安全距離を確保することが重要です。
|一般道における「とまるくん」の正しい設置方法

メーカーが現在公開している一般道路での設置例では、工事施工箇所より手前に最低3台を段階的に設置します。
普通車・時速60kmを想定した一般道の設置例では、
ポイント① 最低3台を設置する
とまるくんは、施工箇所手前へ最低3台を段階的に設置します。
1台だけを規制帯直前に置くのではなく、複数台を配置することが重要です。
ポイント② 交通監視員から20m以上手前に設置する
最も施工箇所側に設置する「とまるくん」は、交通監視員から20m以上手前に設置します。
ここは今回の記事で特に覚えてほしいポイントです。
とまるくんと交通監視員の距離が近すぎると、車両がとまるくんへ衝突した際に、停止するための十分な空間を確保できません。
ポイント③ とまるくん同士は3m間隔
一般道路では、残りのとまるくんを3m間隔で配置します。
イメージとしては、
一般車両 → とまるくん → 3m → とまるくん → 3m → とまるくん → 20m以上 → 交通監視員・施工箇所
という配置になります。
単に「3台置く」のではなく、台数・間隔・施工箇所までの距離をセットで考えることが重要です。
|高速道路では設置間隔が異なるので注意
一般道路と高速道路では設置方法が異なります。
メーカーの設置例では、高速道路の場合、
最低3台を段階的に配置
交通監視員から25m以上手前
とまるくん同士は5m間隔
とされています。
一般道の「20m・3m」と、高速道路の「25m・5m」を混同しないよう注意しましょう。
実際の設置に当たっては、必ず現場の交通規制基準やメーカーの最新取扱説明書を確認してください。
|片側交互通行ではどう設置する?
TKnetの記事で特に問い合わせが多いのが、片側交互通行におけるとまるくんの設置方法です。
片側交互通行では、車線減少規制とは異なり、道路幅員や沿道条件などから十分な規制延長を確保できない現場もあります。
しかし、だからといって、「スペースがないから、とまるくんを交通誘導員のすぐ近くへ置く」という考え方は避けるべきです。
重要なのは、とまるくんへ車両が衝突した後も移動する可能性を考慮して、交通誘導員や作業員を車両の進入経路・停止経路上に配置しないことです。
片側交互通行では、道路幅員、見通し、規制長、車両速度、交通量など現場条件が大きく異なります。
そのため、メーカーの設置条件や発注者・道路管理者等の交通規制基準を確認し、現場条件に応じた安全な配置を検討してください。
【重要】交通誘導員は「とまるくんの真後ろ」に立たない

とまるくんを設置するときに、もう一つ意識してほしいのが交通誘導員の立ち位置です。
とまるくんは車両をその場で完全停止させる装置ではありません。
そのため、とまるくん → 交通誘導員 → 作業区域という一直線の配置にしてしまうと、誤進入車両が装置へ衝突した際、その延長線上に交通誘導員が存在することになります。
交通誘導員は、とまるくんの後方・車両進入線上を避け、退避できる場所を考慮して配置することが重要です。
「とまるくんを設置したから安全」ではなく、「とまるくんが作動したとき、車両がどこへ動く可能性があるか」まで考えて規制を計画しましょう。
|設置前に確認したいチェックポイント
現場責任者は交通誘導員へ設置を任せきりにせず、規制開始前に設置状況を確認することをおすすめします。
□ 車両進入方向に対して、とまるくんの向きは正しいか
□ 必要な台数が設置されているか
□ とまるくん同士の間隔は適切か
□ 交通監視員・作業員まで十分な距離が確保されているか
□ とまるくんの後方に人が立っていないか
□ 路面状況や天候を確認したか
□ 一般道・高速道路など、現場条件に合った配置になっているか
□ メーカーの最新取扱説明書を確認したか
朝礼や規制開始前の安全確認に、このチェック項目を取り入れるのもおすすめです。
|TKnetが「とまるくん」をおすすめする理由
私自身、交通規制を伴う現場では、とまるくんの設置を提案してきました。
過去には、片側交互通行の現場で西日によってドライバーの視界が遮られ、車両が規制帯へ誤進入したことがあります。
その際、とまるくんを設置していたことで装置が車両を受け止め、結果として人的被害には至りませんでした。
この経験からも、交通規制では「ドライバーに気づいてもらう対策」と「万が一進入されたときに守る対策」の両方が必要だと感じています。
工事看板、LED表示板、工事灯などは、ドライバーへ規制の存在を知らせるための「予防」の安全対策です。
一方、とまるくんは、それでも誤進入が発生した場合に備える「最後の安全対策」の一つです。
だからこそ、ただ設置するのではなく、正しく設置することに意味があります。
まとめ|「置いてある」ではなく「正しく設置されている」ことが重要
進入車両停止装置「とまるくん」は、道路工事や交通規制における誤進入車両対策として活用されている安全設備です。
しかし、とまるくんは規制帯の直前に置けばよい製品ではありません。
一般道でのメーカー設置例では、
① 最低3台を段階的に設置する
② 交通監視員から20m以上手前に設置する
③ とまるくん同士を3m間隔で配置する
ことがポイントとなります。
さらに重要なのは、交通誘導員や作業員を誤進入車両の進行・停止経路上に配置しないことです。
交通規制では、「安全設備を設置した」=「安全」ではありません。
正しい使い方を理解し、現場条件に合わせて適切に設置してこそ、安全設備本来の効果を発揮できます。
現場責任者の方は、交通誘導員へ設置を任せきりにするのではなく、規制開始前にもう一度「とまるくん」の向き・台数・間隔・安全距離を確認してみてください。
正しく設置して、作業員とドライバーの双方を守りましょう。
|新型車両停止装置「規制の相棒」【NETIS:KK-220058-A】の紹介
現在、進入車両停止装置のとまるくんは、NETIS登録が終了となっていますが、本ブログでは、後継品である新型車両停止装置「規制の相棒」を紹介していますので、ご確認ください。
(株)仙台銘板で正しい使用方法の説明があるため、こちらも一度確認ください。

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