土砂運搬の車両管理はどうする?VasMapとD-safetyの違い・選び方【NETIS】
更新日:16 分前

土工事における土砂運搬では、多数のダンプトラックが現場と土砂搬出先・搬入先を往復することがあります。
特に一般道路を利用する現場では、車両の運行状況を把握するだけでなく、一般車両や歩行者、周辺住民への安全配慮も重要です。
施工管理者の皆さんは、次のようなことで困った経験はないでしょうか。
ダンプが今どこを走っているのか把握したい
指定した運搬ルートを守っているか確認したい
土砂の搬出入状況や運搬回数を管理したい
通学路や住宅街での速度超過を防ぎたい
運転手の居眠りや脇見などによる事故を防止したい
急ブレーキなどの危険運転を把握したい
運行日報や安全管理記録の作成を省力化したい
土砂運搬の安全対策をNETIS技術として提案したい
こうした課題を解決する方法の一つが、GPS・GNSSなどを利用した工事車両運行管理システムです。
現在、TKnetが土砂運搬の車両管理におすすめするのは、次の2つの技術です。
① VasMap(バスマップ)

車両位置、運行状況、運搬実績、帳票管理など、工事車両の運行管理を幅広く支援するシステム。
② D-safety(ディーセーフティ)

車両位置の把握に加え、危険運転の検知、ドライバーへの注意喚起、ヒヤリハット情報の共有など、安全運行管理に強みを持つシステム。
どちらもNETIS登録技術ですが、現場で重視する課題によって、選ぶべきシステムは異なります。
今回は、土砂運搬における車両管理の課題から、VasMapとD-safetyの特徴・違い、導入時の注意点、技術提案への活用方法まで解説します。
1.土砂運搬で車両管理が重要な理由
① ダンプの運行状況を把握する必要がある
土砂運搬では、現場の施工進捗に合わせて、ダンプの運行台数や運搬回数を調整する必要があります。
例えば、掘削土の搬出が進まなければ、バックホウの施工効率にも影響します。
反対に、ダンプが一度に集中すると、積込み場所や搬出先で待機車両が発生する場合があります。
そのため、施工管理者は車両の運行状況を把握し、必要に応じて運行計画を見直すことが重要です。
② 一般道路では第三者への安全配慮が必要
土砂運搬では、工事車両が一般道路を走行するケースも多くあります。
特に、次のような場所では注意が必要です。
小学校や通学路の周辺
住宅街や生活道路
見通しの悪い交差点
歩行者や自転車の通行が多い場所
大型車同士のすれ違いが難しい道路
土砂搬出入車両が集中する現場出入口
工事車両による事故は、現場内だけでなく、第三者への被害につながる可能性があります。
そのため、運行管理は施工効率だけでなく、安全管理の観点からも重要です。
③ 運行記録や安全管理の負担を減らしたい
ダンプの運行状況を記録するために、運転日報や運搬伝票、車両台数の集計などを行う場合があります。
しかし、車両台数が多い現場では、こうした記録作業が施工管理者の負担になることがあります。
運行管理システムを活用することで、記録・集計作業の一部を効率化できる可能性があります。
2.従来の車両管理方法と課題
従来の土砂運搬では、次のような方法で車両管理を行うことがあります。
管理項目 | 従来の方法 | 主な課題 |
車両位置 | 電話・無線による確認 | 全車両の位置を把握しにくい |
運搬ルート | 運転手への事前説明 | 経路逸脱を確認しにくい |
速度管理 | 安全教育・注意喚起 | 走行状況を継続的に確認しにくい |
運搬回数 | 伝票・日報による集計 | 記録・集計に時間がかかる |
危険運転 | 目視確認・運転手からの報告 | 危険箇所や運転傾向を把握しにくい |
周辺住民対策 | 看板・事前周知・誘導員 | 運行中の注意喚起が難しい場合がある |
もちろん、従来の方法でも適切な運行管理は可能です。
しかし、運行台数が多い現場や運搬距離が長い現場では、管理に必要な人員や作業時間が増える場合があります。
そこで、GPS・GNSSを利用した運行管理システムが有効になります。
3.TKnetおすすめの車両運行管理システム2選
今回、TKnetが注目するのは、NETIS登録技術である「VasMap」と「D-safety」です。
① VasMap|運行状況・運搬実績の管理に強み

製品概要
項目 | 内容 |
技術名称 | 工事用車両運行支援システム VasMap |
メーカー | 株式会社アカサカテック |
NETIS登録番号 | QS-160016-VE |
主な用途 | 工事車両の運行管理・安全運行支援 |
車載機器 | 対応するAndroid端末等 |
管理方法 | Webブラウザによる車両位置・運行状況の確認 |
VasMapは、車両に設置した対応端末の位置情報を利用し、運行状況を管理するシステムです。
管理者は、パソコンのWeb画面から車両の現在位置や走行状況などを確認できます。
主な特徴
車両の現在位置を地図上に表示
実車・空車などの積載状況を確認
運行履歴やイベント情報を記録
指定エリアで音声ガイダンスを実施
速度超過などの注意喚起
運行記録や帳票の出力
合材温度管理や積載重量管理などのオプションに対応
VasMapをおすすめする現場
VasMapは、特に次のような現場で検討したい技術です。
ダンプの運行状況を管理したい現場
車両の位置や運行状況を把握し、搬出入計画の調整に役立てたい場合。
運搬実績を記録したい現場
車両の運行履歴や積載状況を整理し、運搬実績の管理を効率化したい場合。
土砂運搬以外にも利用したい現場
ダンプだけでなく、合材運搬や生コン運搬など、さまざまな工事車両の管理を検討している場合。
TKnet採用ワンポイント
VasMapの魅力は、車両位置の確認だけでなく、運行状況・運搬実績・帳票管理などを組み合わせて活用できることです。
施工管理者が車両管理業務を効率化したい場合、有力な選択肢になります。
ただし、積載重量管理や合材温度管理などはオプション機能です。
また、対応端末や通信環境、必要な設定作業については、導入前に確認しましょう。
② D-safety|一般道路での安全運行管理に強み

製品概要
項目 | 内容 |
技術名称 | 建設車両運行管理システム D-safety |
取扱会社 | 株式会社仙台銘板 |
NETIS登録番号 | QS-230017-VE |
主な用途 | 工事車両の運行管理・安全運行支援 |
主な機能 | 車両位置管理・危険運転検知・音声ガイダンス・運行記録 |
特徴 | 車載カメラ等を活用した安全運転支援 |
D-safetyは、建設現場に特化した車両運行管理システムです。
車両位置の確認に加え、急ブレーキや急旋回などの危険挙動を把握し、安全運転教育やヒヤリハット対策に活用できることが特徴です。
主な特徴
車両の現在位置や走行履歴を確認
指定エリアで音声ガイダンスを実施
速度超過やルート逸脱を把握
急挙動時の動画・画像をクラウドで共有
ヒヤリハットマップを作成
危険地点の情報をドライバーへ案内
カメラの画像解析による眠気や車線逸脱への注意喚起
運行日報・月報を作成
D-safetyをおすすめする現場
D-safetyは、特に次のような現場で検討したい技術です。
一般道路を長距離走行する現場
住宅街や幹線道路などを利用し、第三者への安全配慮が重要な場合。
通学路や生活道路を通行する現場
学校周辺など、特定の場所や時間帯でドライバーへの注意喚起を強化したい場合。
危険運転やヒヤリハットを管理したい現場
急ブレーキや急旋回などの情報を記録し、安全運転教育に活用したい場合。
居眠り・脇見などの運転リスクを低減したい現場
車載カメラ等を利用したドライバーの状態監視や注意喚起を検討している場合。
※カメラによる検知項目や使用条件は、機器構成・契約内容によって確認が必要です。
TKnet採用ワンポイント
D-safetyの魅力は、運行状況を把握するだけでなく、危険運転を検知し、安全運転教育や事故防止対策につなげられることです。
特に、一般道路を利用する土砂運搬では、周辺住民や第三者への安全配慮を重視した技術提案に活用しやすいと考えます。
ただし、危険運転を検知できても、事故を完全に防止できるわけではありません。
また、カメラの検知機能には限界があるため、運転手の安全確認や交通ルールの遵守が基本となります。
4.VasMapとD-safetyの違いを比較
では、実際にどちらの技術を選べばよいのでしょうか。
TKnetでは、現場で改善したい課題に応じて選定することをおすすめします。
比較項目 | VasMap | D-safety |
NETIS登録番号 | QS-160016-VE | QS-230017-VE |
車両位置管理 | 対応 | 対応 |
運行履歴の確認 | 対応 | 対応 |
音声ガイダンス | 対応 | 対応 |
速度超過への注意喚起 | 対応 | 対応 |
運行記録・帳票 | 対応 | 対応 |
積載重量管理 | オプションで対応 | 標準機能としては未確認 |
合材温度管理 | オプションで対応 | 標準機能としては未確認 |
急挙動の動画共有 | 構成・オプション要確認 | 対応 |
ヒヤリハットマップ | 機能詳細要確認 | 対応 |
眠気・車線逸脱の検知 | 対応構成・オプション要確認 | メーカーが機能を案内 |
TKnetの推奨用途 | 運行・運搬実績管理 | 安全運行・危険運転管理 |
※メーカー公開情報に基づく比較です。記載のない機能が利用できないという意味ではありません。実際の導入時には、標準機能・オプション・契約内容を確認してください。
TKnetの結論|どちらがおすすめ?
運行管理の効率化を重視するならVasMap
車両位置、運行状況、積載状況、帳票管理などを組み合わせ、土砂運搬の管理業務を効率化したい現場におすすめです。
安全運行管理を重視するならD-safety
危険運転の検知やヒヤリハット情報の共有など、一般道路での安全対策を強化したい現場におすすめです。
ただし、両製品とも運行管理と安全支援の機能を備えています。
どちらが優れているかではなく、現場で重視する管理項目によって選ぶことが重要です。
5.VasMapの次世代モデル「SmartTracking」にも注目
VasMapを検討する際に、今後注目したいのが「SmartTracking(スマートトラッキング)」です。
SmartTrackingは、アカサカテックが開発を進めているVasMapの次世代モデルです。
2026年4月に製品情報が公開され、メーカーでは近日リリース予定と案内されています。
① 車両位置を1秒間隔で取得
メーカーによると、従来のVasMapでは車両位置の取得間隔が30秒であり、すれ違い困難箇所での車両誘導に課題がありました。
SmartTrackingでは、車両位置を1秒間隔で取得する機能が紹介されています。
これにより、すれ違い困難な運搬経路での車両位置の把握を支援します。
② 狭い工事用道路での離合管理
山間部の工事用道路や、幅員が狭い仮設道路などでは、大型車同士がすれ違えない場所があります。
SmartTrackingでは、こうした場所での離合管理を支援する機能が紹介されています。
ただし、位置情報には誤差や通信遅延が生じる可能性があります。
実際の通行規制や車両誘導では、現場条件に応じた安全対策が必要です。
③ 今後のNETIS登録状況にも注目
SmartTrackingはVasMapの次世代モデルですが、VasMapのNETIS登録番号をそのまま適用できるとは限りません。
また、販売開始時期や導入条件についても確認が必要です。
TKnetでは、現時点ではVasMapとD-safetyを中心に提案し、SmartTrackingの正式リリース後に選択肢を広げる方針をおすすめします。
6.土砂運搬の現場条件別おすすめシステム
ケース① 大規模土工でダンプの運行台数が多い
現場課題
多数のダンプが運行するため、車両位置や運搬状況を把握しにくい。
おすすめ:VasMap
車両位置や運行状況を確認し、必要に応じて運搬計画の調整に活用します。
積載重量管理などのオプションを組み合わせることで、運搬実績の管理を効率化できる場合があります。
ケース② 一般道路を利用し、周辺住民への安全配慮が重要
現場課題
住宅街や通学路を工事車両が通行するため、速度超過や危険運転への対策が必要。
おすすめ:D-safety
指定エリアでの音声ガイダンスや危険挙動の記録などを活用し、安全運行管理を強化します。
ケース③ 運搬距離が長く、運転手の安全管理を強化したい
現場課題
長距離運搬によって、疲労や注意力低下による事故リスクが懸念される。
おすすめ:D-safety
カメラによる眠気検知などの安全運転支援機能を検討します。
ただし、休憩時間の確保や無理のない運行計画など、基本的な労務・安全管理が前提です。
ケース④ 狭い工事用道路で大型車がすれ違う
現場課題
幅員の狭い道路で大型車同士のすれ違いが難しく、車両の通行調整が必要。
検討したい技術:SmartTracking
高頻度の位置情報取得による離合管理機能が注目されます。
ただし、正式な販売・提供状況を確認する必要があります。
現時点では、退避所の設定、通行ルール、誘導員の配置などを含めて対策を検討しましょう。
7.車両運行管理システムを導入する前の注意点
① 通信環境を確認する
運行管理システムでは、車両の位置情報を取得し、管理画面へ送信します。
山間部やトンネル周辺などでは、通信状況によって情報の更新が遅れる場合があります。
D-safetyでは、通信圏外でも事前登録したエリア情報などを利用した一部の注意喚起機能が案内されています。
ただし、管理画面への情報反映や機能の利用条件は確認が必要です。
② GPS・GNSSの位置情報には誤差がある
車両の位置情報には、衛星の受信環境や周辺地形などによって誤差が生じる場合があります。
特に、狭い道路や交差点などでは、位置情報だけで車両の安全を判断しないことが重要です。
③ ドライバーの画面注視を防ぐ
車載端末を使用する場合、運転中に画面を注視したり、端末を操作したりすることは危険です。
音声ガイダンスなどを活用し、運転手が安全運転に集中できる運用方法を検討しましょう。
④ 導入費用と初期設定を確認する
システム導入時には、車載端末の費用だけでなく、次の項目も確認しましょう。
レンタル・利用料金
車載端末の台数
通信費
運搬ルートや注意喚起エリアの初期設定
オプション機能の費用
管理画面の利用条件
運転手への操作説明
端末の設置・返却方法
特に、複数の運送会社が出入りする現場では、端末の管理方法も重要です。
⑤ 運行データの取扱いを整理する
車両位置や運行履歴、車載カメラの映像などを取り扱う場合、運転手や協力会社への説明が必要です。
取得するデータの種類、利用目的、閲覧できる担当者、保存期間などを事前に整理しましょう。
⑥ システムだけで安全管理を完結させない
運行管理システムは、車両の運行状況を把握し、安全対策を支援する技術です。
しかし、運転手の安全確認や交通ルールの遵守を代替するものではありません。
運行計画、安全教育、現場出入口の誘導、周辺住民への配慮などと組み合わせて活用することが重要です。
8.NETIS技術としての活用と技術提案例
VasMapとD-safetyは、どちらもNETIS登録技術です。
土砂運搬における車両管理を技術提案や創意工夫として検討する場合、現場課題と期待する改善効果を整理することが重要です。
技術提案① VasMapによる運行管理の効率化
現場課題
土砂運搬に使用するダンプの運行状況を把握し、運搬計画や運行記録の管理を効率化する必要がある。
採用技術
工事用車両運行支援システム「VasMap」を導入する。
期待する効果
車両位置や運行状況を管理画面で確認することで、運搬計画の調整を支援する。
また、運行履歴や帳票機能を活用し、運行記録の作成・整理を効率化する。
技術提案② D-safetyによる安全運行管理の強化
現場課題
土砂運搬車両が一般道路を走行するため、速度超過や危険運転を防止し、第三者への安全配慮を強化する必要がある。
採用技術
建設車両運行管理システム「D-safety」を導入する。
期待する効果
指定エリアでの音声ガイダンスや危険挙動の記録により、ドライバーへの注意喚起を強化する。
また、ヒヤリハット情報を安全教育に活用し、安全運行管理の向上を図る。
TKnetの技術提案ポイント
技術提案では、単に「NETIS登録技術を採用する」と記載するだけでは不十分です。
運行管理の省力化を提案するのか、第三者への安全対策を提案するのかを明確にすることが重要です。
例えば、土砂運搬台数が多い現場では運行管理の効率化、通学路を通行する現場では安全運行管理の強化というように、現場条件に合わせて提案内容を整理しましょう。
※NETIS登録技術の採用が、必ず技術提案の加点や評価につながるわけではありません。発注者の評価要領や工事条件を確認してください。
9.土工・重機施工の課題解決技術をもっと知りたい方へ
土工事では、土砂運搬の車両管理だけでなく、盛土の品質管理、掘削精度、重機の接触防止、地下埋設物の損傷防止など、さまざまな課題があります。
TKnetでは、施工管理者が現場の課題から技術を探せるよう、総合ガイドを公開しています。
また、D-safetyの機能や安全運行管理への活用方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
10.技術提案資料を活用しよう
土砂運搬の車両管理では、現場条件に合った技術を選ぶことが重要です。
しかし、実際の技術提案では、導入するシステムの特徴だけでなく、現場課題と改善効果を整理する必要があります。
TKnetでは、施工管理者向けにNETIS技術などの技術提案資料を公開しています。
運行管理の省力化や一般道路での安全対策を技術提案として検討したい方は、ぜひご活用ください。
※公開資料の対象技術・内容をご確認のうえ、工事条件に合わせて活用してください。
まとめ|土砂運搬の車両管理はVasMapとD-safetyを使い分けよう
土砂運搬における車両管理では、ダンプの運行状況を把握することに加え、一般道路での安全対策や運行記録の効率化が重要です。
今回紹介したVasMapとD-safetyは、どちらもNETIS登録技術であり、土砂運搬の車両管理に活用できるシステムです。
VasMapがおすすめの現場
ダンプの位置や運行状況を把握したい
運搬実績や運行記録を管理したい
帳票作成などの管理業務を省力化したい
土砂運搬以外にも幅広く活用したい
D-safetyがおすすめの現場
一般道路での安全運行管理を強化したい
急ブレーキなどの危険運転を把握したい
ヒヤリハット情報を安全教育に活用したい
眠気や車線逸脱などへの注意喚起を検討したい
また、VasMapの次世代モデルであるSmartTrackingも、今後注目したい技術です。
TKnetでは、運行管理の効率化ならVasMap、安全運行管理の強化ならD-safetyを中心に、現場条件に応じた技術選定をおすすめします。
大切なのは、製品の機能だけで比較するのではなく、現場で何を改善したいかを明確にすることです。
今後もTKnetでは、施工管理者が現場の課題を解決できるよう、実務に役立つICT・NETIS技術を紹介していきます。

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